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50代会社員の間違った起業思考とは

50代に入り起業を考え始めたが「自分に何が出来るんだろう」と悩まれる方が多いものですね。特に仕事一筋、役職定年を前にした管理職の方に多いかと思います。

あなたはいかがですか?

これと言った趣味は無いし、ヘェーと思われるよう資格や才能があるわけでもない。こんなふうに思っていないでしょうか。

独立起業に必要なことは資格や才能ではありません。必要なことは「あなたの経験が誰の役に立つのか」ということです。それが起業の原点になるものです。

今日は「だれ」を決める重要性についてお話ししたいと思います。

50代会社員の起業に対する思い込み

50代は経験が豊富な分だけ思い込みの壁も高くなっています。営業畑できたから手に職がないとか。経理・総務などの事務職が長いから人脈などもない、なんてことを考えてしまいます。でも、それはあなたの一面にしか過ぎません。

すると、出来ることは何だろうと起業アイデアを考え、これなら仕事になるかなと思考が働きます。知識とか資格とかに目が向いてしまうものです。

例えば、経理一筋30年、簿記も一級。税理士の資格をとって起業しよう。なんとなく、ありがちなパターンですね。でもね、これでは、きっと上手くいきません。決して、全て否定するわけではありませんので、ご安心を。

ここでよく考えてみましょう。世の中に税理士はどのくらいいるのでしょうか。なんと78570人もいるそうです。そもそも、それすら知らないのでは問題ですけどね。

何が言いたいのかというと、そんな多くの税理士の中で、あなたが選ばれますか?ということです。

あなたが東京住まいであれば、23225人の中から選ばれる必要があるということです。ポッとでの税理士と地元に根付いて10年の税理士と持っている資格は同じです。出来ることも同じです。でも、頼まれるのは10年の税理士ということになるのが普通の姿です。

では、そうならないためには、何が必要になるのでしょうか?

それが「選ばれる理由」です。同じ税理士でも、だれに、どんな価値を提供してあげられるのか、ここが大切だということですね。つまり、資格は単なるツールであって「あなたの価値」が先にあるから税理士として仕事になるということです。

起業準備の事例に学ぶ「提供価値」とは

起業準備を粛々と進め、まさに踏み出そうとする人のビジネスプランを発表する場に何度か参加したことがあります。私自身、そこで学び、今ではそこの講師もやっています。そんな一人の発表者の想いから起業の在り方を考えてみたいと思います。

彼は、元公邸料理人、食で外交メッセージを伝える料理人です。専門はフランス料理。帰国して民間ホテルの総料理長を務めていました。公邸料理人を経て総料理長と聞けば、誰しも順風満帆、料理人エリートと思いますよね。

ところが、総料理長と言う「お客様の顔が見えない」仕事がモヤモヤを増幅、苛立ちとギャップを感じ起業を決意したとのことです。

ここまで聞くと、あなたは、こんなふうに思いませんでしたか。

これまでの経験を生かしフランス料理店を開く。よくあるキャリアビジネスじゃないか! なんてね。しかし、全く違うんです。

料理とは何ためにあるのか、そこに込めるメッセージを「誰に、どのように伝えるのか」を仕事にしたいと強く考えた。原点は幼い時に父親が作ってくれたハンバーグが忘れられないと言っています。

彼のビジネスプランに込められた想いは、20代後半の女性が「フランス料理を通して親から子供に伝えるメッセージ」です。料理の提供ではなく、フランス料理を気軽に楽しみながら作る場の提供。親の料理を子供に伝えるためのフランス料理教室でした。

起業の在り方とは経験や知識、資格やスキルだけで決まるものではありません。誰のために役立ちたいのか、その人の未来をつくることが「提供する価値」となります。

50代の豊富な経験は宝箱のようなものです。経験で得たこと学んだことの一つひとつを組み合わせ、誰の役に立てるのかを決め、それを価値として提供していく、これが起業の在り方です。

あなたの価値を感じる人はどんな人ですか?

50代には豊富な経験があります。でもね、「こんな強みがある」「こんな資格がある」「こんな実績もある」と叫んだところで、相手困ってなければ単なるお節介です

相手が知りたいのは、あなたの資格や知識ではなくて「自分にとって、どのように良いのか」ということになります。相手の目線から見たときに、それでどうなるの?に変換してあげることが大切です。

起業準備は「だれが、どうなるのか」を言葉にすることから始まります。つまり、得られる価値を言葉にしていくことです。そのためには「相手」はどんな欲求を持っている人なのかを定義する必要があります。「だれが」決まると提供する価値は明確なっていきます。

まだ、何も決まっていないという人も、すでにやりたいことがある人も「だれが」を決めることは欠かせません。

あなたは「どんな人の役に立ちたい」と思っていますか?ここが決まると起業準備は加速しますよ。

まとめ

ビジネスの原理原則は「だれ」×「困りごと」×「解決」で成り立ちます。そのためには経験を棚卸して「強みとなる素材」を集め、組み合わせて「あなたの価値」に変える。そして、だれの役に立ちたいのか、この「だれ」を定めることが鉄則です。

相手が望んでいることは、あなたの価値の説明ではありません。「自分はどうなれるのか?」、この一点が知りたいのです。

大切なことは、あなたの価値を「相手の興味・関心に変換」することです。どんなことに困っているの人か、どんな欲求がある人か、を定義することです。つまり、「だれ」を明確にすることになります。

50代には多くの経験があります。でも、自分目線で見るだけでは思い込みの壁は越えられません。相手目線に立つことで、あなたの経験は価値に変えることが出来ます。

相手に喜ばれ、感謝される働き方をつくることが人生後半の生き方につながるのではないでしょうか。

それでは「楽しむ」を大切に